2016年8月18日木曜日

ビルドしたx86_64なPC向けの「lk」カーネルをQEMUで動かす

前回の記事の続き.

ビルドしたものはscripts/do-qemux86-6を付けると動かせる.
が,このスクリプトを走らせるとmakeでlkのビルドをしなおそうとする.

正直単にQEMUを起動するだけなので,次のコマンドをlkのプロジェクトディレクトリのルートで行なえば良い.
$ qemu-system-x86_64 -m 512 -smp 1 -machine q35 -kernel build-pc-x86-64-test/lk.elf -nographic
-enable-kvm -cpu hostを付けるとか-nographic外して-serial stdio付けるとか,-m-smpの後ろの数字変えてメモリ割り当てやVCPU数変えるとか,
scripts/do-qemux86で指定できるオプションでの引数の変更とかは勝手にすれば良いと思う.

Googleの新OS,Fuchsiaに使われてるらしいカーネル「lk」をx86_64なPCをターゲットにビルドしてみる.

表題の通りです.
レポジトリはここ
https://github.com/littlekernel/lk.git

まずは,
$ git clone https://github.com/littlekernel/lk.git
$ cd lk
ここで次のパッチをあてる.
このパッチは2つの変更から為る.

ひとつめ
arch/x86/toolchain.mkの25行目,FOUNDTOOLが,ifndef ARCH_x86_64_TOOLCHAIN_PREFIX の中にある.
これだとARCH_x86_64_TOOLCHAIN_PREFIXを自分で指定したら必ずビルドに失敗してしまう.
しかも,この変数はもし宣言されてない場合はx86_64-elf-をプレフィクスにしようとする.大半のPCのLinux環境ではx86_64-pc-linux-gnu-だろう.
ふたつめ
engine.mkGLOBAL_DEFINESHAVE_MREMAP=0を追加する. Linuxだとこの環境変数はデフォルトで1にされてしまい,external/lib/heap/dlmalloc/dlmalloc.cmremap(2)を使おうとするが, その実装がこのプロジェクト中に存在しないので,ビルドに失敗する.

加えて,次の修正が必要かもしれない.
binutilsの中でも,nm, c++filt, objdump, objcopy, size, ldのコマンドを使用するが,このlkのビルドシステムはARCH_x86_64_TOOLCHAIN_PREFIXで指定したツールチェインのプレフィクスがこれらコマンドについてる前提でビルドする. しかし,x86_64向けのbinutilsにプレフィクスがついたコマンド名のコマンドが入ってない場合も多い.その場合はlnコマンドとか使ってなんとかするしかない.

以上を修正したところで,次の通りに実行.
(ただしツールチェインのプレフィクスは自分の環境に合わせてください)

$ env ARCH_x86_64_TOOLCHAIN_PREFIX=x86_64-pc-linux-gnu- make pc-x86-64-test
これでビルドは完了

P.S. という指摘を貰う.ARMとかMIPSとかだけじゃなくてi386/x86_64もここのツールチェイン使うが正解っぽい. FOUNDTOOL変数の定義の場所は明かにバグっぽいけど,そもそもここのツールチェインダウンロードしてパス通してってやれば,普通にプレフィクスそのままでビルド通るだろうから気がつかなかったんだろな.